出張不登校おはなし会

親は大海原に出た小舟の帰りを待つ、港のような存在であってほしい。〜不登校のおはなし会vol.22レポート〜

520()京都の町家・学び舎傍楽で「不登校のおはなし会」が開催されました。
この日は、不登校のお子さんを持つお父さんお母さん8名と、不登校の経験を持つ男性と女性が各1名ずつ参加してくださいました。

今回は、セミナーのような形ではなく、最初に二つのグループを作り、参加者の皆さんが、思い思いの考えを自由に発信し、不安や悩みが少しでも解消に繋がるよう「ぶっちゃけ」形式でお話しいただきました。

まずは、各グループで思う存分にお話しいただいた後、不登校の経験を持つ社会人と、傍楽主人の駒井が、対談形式で当時の気持ちや乗り越えた現在の気持ちを、ありのままに話してくれました。実際に不登校を経験した女性の話の中で、特に印象に残った言葉があります。

「絶対的な味方が欲しい・欲しかった」
「家が一番安心できる場所であってほしい」
「正解はないけれど否定的なことは言わないでほしい」

助けてほしいのに伝わらない、それどころかすれ違いが生まれていく、その光景を思い浮かべたとき、とても胸が苦しくなりました。おそらく、不登校になった子どもを目の前にした時、ほとんどのお父さんお母さんが言ってしまうのが否定的な言葉ではないでしょうか。

「なぜ学校に行かないのか」
「学校に行かないなんて恥ずかしい」
「学校に行かないで将来はどうするのか」

実際、自分が親の立場になって、子どもが不登校になったら‥・と考えた時、この「傍楽」という場所を知らずにいたら、私も否定的な言葉を発していたと思います。今回のおはなし会をとおして、不登校の当事者は、相当な孤独を感じていることが痛いほどに分かりました。ですが、それはあまりにも深く大きな闇であり、その孤独を感じ取り、理解し、受け止めることは、決して容易なことではないことにも気づかされました。

でも、そんな状況から救い出せるのは、他でもないお父さんお母さんなのだと思います。親が絶対的な味方となり、受け止めてあげること。世間が何と言おうと、誰に非難されようと、お父さんお母さんがタッグを組んで守ってあげること。口で言うほど簡単なことではありませんが、その「覚悟」が気持ちを動かす一つのきっかけになるのだと感じました。

親の立場からすれば心配、責任、プレッシャー複雑な感情がたくさん付いて回ると思います。参加者の中に不登校を乗り越えたお子さんを持つお父さんがいて、その方はこうおっしゃっていました。

「根気が必要です。でも頑張り過ぎる必要は一切ありません。まずはお父さんお母さんがリラックスして、心を穏やかにしてください。大海原に独り投げ出された小舟の帰りを待つ、港のような存在であってほしい。」

愛情に満ち溢れたとても温かい言葉に感じました。

最後になりましたが、今回参加してくださった不登校経験者の方は「将来、不登校の子が自由に通える学校を作るのが夢だ」と話してくれました。彼女自身が不登校を経験していなければ、きっとこの夢は見つからなかったでしょう。その眼差しがとてもカッコよかったです!

(writer:)

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