7月21日(金)の昼下がり、京都の町家「学び舎傍楽」で「不登校のおはなし会」が開催されました。 私は今回、初めてこの会に参加させてもらい、不登校のお子さんを持つお母さん方、経験者の方、不登校の人たちを支援している方。様々な立場の方々の意見が飛び交う中に、入らせていただきました。
私自身も、不登校を経験した弟がいます。その立場で当時の家庭の状況、どのように家族が前向きに歩むことができたのかを、少しお話させていただきました。
私の弟は、プライドが高いです。小学校までは、いわゆる優等生で、中学校受験をして、進学校に入りました。親の期待も、それなりに高かったと思います。しかし入学すると、みんなが同じかそれ以上の学力。弟は、今まで持っていた自信を失い、そこで人生初めての挫折を経験したのです。
そうして、その事実から逃げるようにゲームにハマり、だんだんと学校にも行かなくなりました。授業の進度が速い進学校のために、学校に戻っても追いつけない。友達とも上手くやっていけるか不安と感じ、さらにゲームに没頭するように。当初は、なんとか学校に行かせようと、父も母も私も必死でした。布団から出し、遅刻でもいいから学校に行かせようとしていました。でも、弟の体は動かない。母は毎朝のように泣き、父は怒鳴っていました。
そんな毎日に、変化が訪れたのは一年後。
きっかけは、私たち家族が「学校に行かない」という弟の意思を、受けとめることができたことでした。
「行きたくないなら、学校を辞めてもいいよ。でも、せっかく辞めるんだったら、ぶっ飛んだ生き方してみないか?何かの職人に弟子入りするとか、ゲームを極めてプロゲーマーになるとか、ゲームプログラマーを目指してみるとか。」
そんな私達の言葉に、ふっと心が軽くなったのか、弟は学校を辞め、通信制高校への転学を決めました。
それと同時に、弟はアルバイトも始め、段々と外に出ることが増え、笑顔が増えて表情も明るくなりました。
今回参加されていたお母さんの一人は「自身の想いが、子どもを無理に頑張らせた。」と仰っていました。
親の期待に応えようと、子どもは必死に頑張ります。常に親の顔色を伺っています。不登校になった自分は、もうできない子なんだと思い、家族にも心を閉ざしてしまう。
その中で、家族ができることは、不登校という周りと少し違う道を選んだ子どもを褒めてあげること。強い勇気と行動力がなければ、不登校という選択は取れません。その個性を、思いっきり認めてあげてください。声に出して褒めてあげてください。
「親は、朝顔や向日葵になれと育てるが、みんな違ってみんないい。」そんな言葉が、今回のおはなし会の中でありました。子どもの歩むスピードは、みんな違います。高校をちゃんと卒業して、偏差値の高い大学に行って、大企業に入ることだけが、ベストな生き方ではないのではないでしょうか。
今、不登校の子どもを持つお母さんは、どうしたらいいのか分からずに苦しいし、しんどいと思います。逆に不登校の当事者のお子さんも、今が一番しんどいと思います。でも、客観的に子どもの将来を見たとき、長い人生の中で不登校という経験は、大人になると、なんともないことが多いような気がします。「家族みんなで、『不登校』というものに対して、前向きになること。」それが大切なのではないかなと、私は思います。
(writer:まり)