去年の12月24日、クリスマスイブの日に京都駅の近くで、現役の中学3年の不登校生と、その家族全員が不登校について語る講演会が開催されました。
どう考えても、家族全員が話すなんてありえないことですよね。それを行われた家族「坪倉家」の皆さんは、本当に凄い家族だと思います。
学び舎傍楽でも、3月3日、お雛様の日に講演会をしていただきました。告知をすると、すぐに満席になって、講演に対する関心度の高さを感じました。
講演会は、高校2年生のお兄ちゃんのお話から始まりました。
最初は、学校へ行かない弟(たっちゃん)を責めてばかりいたお兄ちゃん。
しかしながら、時間の経過とともに、「弟は自ら学校へ行かない選択をした」ことを理解し、最後はたっちゃんの生き方を尊敬し応援するまでに、気持ちが変化したことを話してくれました。
その話に、参加してくださった多くの親御さんは、感動してこぼれる涙を押さえながら聞いていました。
次は、お母さんです。
お母さんは、たっちゃんの不登校のことで苦しいときに、私の2人の子どもの不登校の経緯を、傍楽に聞きに来てくれました。その時にお母さんは、「駒井さんは、初めて私の気持ちを分かってくれた人です。」と仰っていました。ずいぶん心が軽くなったそうです。
またお母さんは友人から、「心配のつるで、たっちゃんをぐるぐる巻きにしている、心配は信用していないことと同じだから、その心配のつるを切りなさい」と言われたことがきっかけで、心に変化が起きたそうです。
心配は自分の問題であること。そこに気がついたときに、お母さん自身が、自分をもっと大事にして自分を信じてあげようと思い至ったそうです。そうすることが、たっちゃんを楽にすることにつながることに気付き、たっちゃんのありのままを受け入れることができたとのことでした。
私は、同じ立場の母親としてあまりにも分かりすぎて、私のときとかぶってしまい、涙が止まりませんでした。
価値観を変えることの難しさ。
信じ切るところに行くまでの葛藤。
本当に、どんなにしんどかっただろうかと思うとよく頑張ったなあと、同志に対する拍手を心の中で送り続けていました。
その後はお父さん。
お父さんは、最初からたっちゃんの味方でした。「行きたくないのであれば行かなくていい」と、言っていた人でした。
たっちゃんは、どれだけ心強かっただろうと思います。
お父さんは、家族の中で一人でも味方になってあげる人がいないとやりきれないですと言っていました。
そして最後は、たっちゃん本人が作文を読んでくれました。
最初は、学校へ行かないことが、間違っているのかなあと思っていたそうですが、いろんな面白い大人に出会っていくうちに、いろんな生き方があっていいんだと分かって、自分は学校へは行かない選択したことを話してくれました。
そして、家に居る時間の中で、料理が上手なお父さんの影響を受け、料理をするようになり、それが自分のやりたかったことに気付いたそうです。そして将来は、料理人になると決意したとのことでした。
そのために家畜、野菜、果物などを育てながら、食の原点の勉強できる農業高校を目指して塾に行き、猛勉強を始め、合格した、たっちゃん。
自分の意志ですべてを決める。
そして、自分をごまかさずに楽しく生きる。
それを、中学3年生であるたっちゃんが決断したのです。
本当に素晴らしいなあと感動しました。
たっちゃんの姿は美しく、輝いていました。
凛として堂々としているたっちゃんに、割れんばかりの拍手が沸き起こりました。
みんなが素晴らしく、凄い。
参加してくださった方々に、感動の嵐を巻き起こし講演会は終わりました。
これから、坪倉家の人々は多くの人の希望になると思います。
自分の人生は自分で選択していい。
ありのままの自分で生きていい。
本当にそうだと思います。
(writer:主人・駒井)