不登校トークセッション

不登校トークセッション Vol.14「あの時、僕は怠けていたわけじゃない。~起立性調節障害と不登校を経験した高校生が、今だから伝えたいこと~」レポート

8月30日の不登校トークセッションは、高校3年生のゆうたさんの起立性調節障害で苦しんだお話でした。

ゆうたさんは、小中学校までは学業と部活の野球に励み順調に学校生活を送っていました。高校は甲子園を目指せる学校に入学し、希望を持って勉強と野球の相当ハードな毎日を充実した気持ちで過ごしていました。けれども、1年生の6月頃から微熱が出始めて倦怠感と頭痛に悩まされることになります。どこの病院に行っても「起立性調節障害」でメンタルがやられていると言われる始末。ゆうたさん自身はメンタルがやられているのではないと思っていたので、医師の言葉が腑に落ちませんでした。

病院に行ってもしんどさは変わらない状況が続くので、部活の先生にはやっとのことで授業を受けて部活ができない状況を説明して、部活を休ませてもらうことにしました。

しばらくすると夏休みに入ったこともあって症状は回復傾向になっていきました。それで2学期からはもう大丈夫だろうと思って、また頑張り始めました。すると、やはりまた体調が前の状態に戻ってしまったのです。ゆうたさんは、焦りました。甲子園を目指して覚悟して入った学校なのに、なんでこんなことになってしまったんだろうと。体はどうしても言うことを聞いてくれず学校も休みがちになり、眠っても眠っても眠い状況が続きました。

そんな時、お父さんが起立性調節障害に詳しい福岡の病院を探してきてくれて行ってみることにしました。そこの医師は「あなたの場合は、メンタルではない。睡眠のことや食べ物の取り方を変えていくことが必要」と具体的に対処法を教えてくれたのです。ゆうたさんはようやく自分のことを理解してくれて信頼できる先生に出会えたことで安堵し、教えてもらったことを実践していきました。すぐには変化はありませんでしたが、先生の言葉を信じて実践を続けるうちに少しずつ楽になっていきました。それでもまた何度か波はありました。体調が良くなったと思って動き出すと逆戻り。まるで体はその生き方は違うんだと訴えているように思えたそうです。

そして高校3年の時、「人生は野球だけじゃない。今は体をまず大事にすることを優先しよう。」と思うようになってから知らず知らずのうちに体調が良くなってきたのでした。今までの価値観にしがみつくのではなく、自分を責めることも止めたゆうたさん。体が「ようやく大事なことに気づいてくれたか」とゆうたさんに教えてくれたかのようでした。

またこのことがきっかけでゆうたさんは、今まで知らなかった不登校のことを探求したくなりました。日本の教育はどうなっているんだろう?といろんな疑問が湧いてきて、政治家や教育委員会、フリースクールの代表などにインタビューを申し込み話を聞きにいきました。それで分かったことは、教育や学校のシステムがうまく機能していないということでした。そこでゆうたさんの新たな目標がみつかります。「自分のような苦しい思いをしている人の助けになりたい。教育を変えたい!」という目標です。それが見つかったこともあって、体も心も回復していったのでした。

今、ゆうたさんは法学部を目指して受験勉強に取り組んでいます。「苦しい思いをしたけれど、それがなかったら今の目標は生まれなかったと思います。無理しすぎないようにして自分を大事にしていきたいと思います。」と静かに言いました。

高校3年生というこの時点で、大きな目標を見つけたゆうたさん。ただただすごいなあと思いました。苦しみを乗り越えた人の優しさ、強さを醸し出しているゆうたさん。これから道は険しいと思うけど、ぜひ、苦しむ人たちのために光になってほしいなあと思います。

寄稿者は代表の駒井です。

●参加者の声

とても大変でつらい経験を話して下さりありがとうございました。

1つ1つの話が「うん、うん」とうなずけて、共感したり、気づいたりできました。当事者の話を聞く機会がなかったので、良い経験になりました。無理をしない、がんばりすぎない、簡単な様でむずかしいなと思いました。でも少しずつ息子にも伝えて、楽に生きてほしいなと感じました。どうもありがとうございました。

関連イベントレポート

  • 不登校トークセッション Vol.13「進学先の決め方、そのために保護者の方にして欲しいこと、して欲しくないこと」レポート

    2026年7月21日

  • 不登校トークセッション Vol.12「親だけじゃ無理だったから、“外の力”を借りて立て直した話 ― 母×家庭教師で乗り越えたリアルなプロセス ―」レポート

    2026年7月2日

  • 不登校トークセッション Vol.11「診断がなくても、言葉にならない不安を抱えるすべての親へ」レポート

    2026年4月29日

  • 不登校トークセッション Vol.10「非HSPママとHSP娘が分かり合えた日」レポート

    2026年3月3日